24時間いつでも納税できるカードを使っての納税とは。お得?損?
法人税を納税するのにクレジットカードは使えるの?
法人税を納税する際にクレジットカードを使う利点は?難点は?
法人税を納税する際にクレジットカードを使う際の手数料は高い?
今日、多くの方がご利用しているクレジットカードですが、実は納税の際にも使えるのをご存知ですか? でも、果してクレジットカードを納税に利用するのは、お得なのでしょうか?それとも損なのでしょうか?
20年以上、会計・経理職を経験した私が、実際に経験したクレジットカードで納税するお話を今回お届けします。
クレジットカードでどうやって納税するの?
クレジットカードの手数料って経費になる?
納税の際の上手なクレジットカードの利用方法とは
間違って個人名義のカードや他の法人のカードで納税してしまったら?
クレジットカードの利用方法から、実際にありうるハプニングまで、最後までお読みいただければ、法人税を納税する際にクレジットカードを利用する事についてご理解いただけます。
目次
法人税を納税するのにクレジットカードは使えるの?
今でこそ、いろいろな支払いに利用できるクレジットカードですが、買い物はもとより納税の際に利用できるようになったのが諸外国より遅く、平成29年(2017年)より、クレジットカードでの納税ができるようになりました。
その前からクレジットカードを納税に使えた地方自治体はありましたが、国税として税制改正し、それが各地方自治体にも広まったようです。しかし、まだ自治体によってはその機能を導入していない場所もあるようなので、利用可能かどうかは各自治体にお問合せ下さい。
中国で「この店じゃ、カード使えないな」って思うほどの古い店や路上販売しているおばちゃんの店で携帯での支払いしかできないという話を聞いた時にはひっくり返るくらい驚きました。
クレジットカードを使って納税する方法
クレジットカードを使って納税する方法は、下記の方法があります。
国税クレジットお支払いサイト (国税クレジットお支払いサイト (https://kokuzei.noufu.jp/jpn/))
e-Tax(国税電子申告・納税システム)(e-Tax(国税電子申告・納税システム)(https://www.e-tax.nta.go.jp/))
このように、クレジットカードを利用して納税する方法は、オンラインの支払いを利用してという事になります。
コンビニエンスストアの窓口での納付にクレジットカードと電子マネーは使えません。
金融機関又は税務署の窓口での納付にクレジットカードは使えません。
クレジットカードを使って納税した場合の手数料
手数料は、納付税額によって異なり、下記のようになっています。尚、分割払いやリボ払いの場合は、各カード会社が定める手数料が発生する場合があります。
<国税庁のサイトを元に作成>
クレジットカードを使って納税した場合のポイント
納税の際にクレジットカードを使うと、通常の買い物のようにポイントは付与されます。しかし、何ポイント付与されるは、カード会社によって違いますし、その時のキャンペーンなどを利用すると、更にポイントを付与されたりもします。
下記のカード会社はその1例です:
同じ会社のカードでも、カードの種類によってポイントが違う場合があります。
クレジットカードを使って納税するメリットとデメリット
クレジットカードを使って納税すると、現金で払う場合と違い、わざわざ税務局など支払いをする場所に出向かなくてよいという利点がありますが、他にどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
クレジットカードを使って納税するメリット
支払日に現金がなくてもよく、後払いできる。(カードの請求書の支払い)
分割払いができる。
家やオフィスなどで支払いが出来る。
現金を用意する必要なない。
ポイントやマイルが貯まる。
クレジットカードを使って納税するデメリット
領収書が発行されない
納税証明書の発行が遅れる。(必要な場合は、約10日前後かかるので、必要な場合は、余裕をもって納税しましょう)
決算手数料がかかる。
クレジットカードの利用限度額を超える支払いができない。
税務局やコンビニでの支払いが出来ない。
地方自治体によっては、まだクレジットカードの支払いができない場所もある。
クレジットカードを使って納税した場合の会計について
会計や経理関係の役職につかれている方ならすぐに頭に浮かぶ質問でしょうが、クレジットカードを利用した際の手数料は、会計上、どういう扱いになるのでしょうか?
又、毎回、インターネットで支払いをするのが面倒な場合、支払いが毎回、同額のものは、自動引き落としはできるのでしょうか?
カードの手数料は経費になる?
納税の際に利用したクレジットカードの手数料は、”支払手数料”という項目で、会計上、経費として計上できます。
カードで自動支払いは出来る?
口座振替ならそういう機能がありますが、国税庁のe-Taxのサイトやクレジットカードにそのような機能は、残念ながらありません。面倒でも、毎回、支払い工程を繰り返す必要があります。
カードで法人税を払う際の起こりうるハプニング
会計・経理職の仕事、特に入力作業は完璧に近いレベルを要求される仕事ですが、それでもたまにはミスをしてしまうのが人間です。下記の状況は、カードで法人税を払う際の起こりうるハプニングと対処方法の例です。
個人名義のカードで法人税を払ってしまった
管理職の方に起こりうる事なのですが、財布の中に、個人名義と会社名義のクレジットカードがあると、支払いの際に間違ったカードを使ってしまう事があります。
家族旅行に行った際に、会社のカードでホテル代を払ってしまった。会社の接待の際に、個人名義のカードでレストラン代を払ってしまった。おそらく、会社で経理をやられている方なら、一度は管理職の方がこのような理由で頭を下げに来たというのを経験された方もいるでしょう。
同様に、個人名義のカードで法人税を払ってしまったら、どうなるのでしょうか?
そのような場合でも、慌てる事は一切ありません。まず、税務署側からすると、支払先がきちんとご自分の法人なら、どこからお金が支払われているかは関係ありません。
よって、問題になるのは、社内の会計上の記録です。
理論上、その会社に所属する人が払っていれば、問題はないのですが、きちんと”経費”として計上するには、「会社が払った」事を記録してある必要があります。
社員・役員の個人名義のクレジットカードで納税をしてしまった場合、今度は会社名義の銀行口座からその人の個人名義の口座に振り込み、その記録を明白にする必要があります。現金で払った場合は、領収書を発行するなど、きちんとした記録を残しておく事が大切です。
こうする事により、会計上、その社員・役員を通じて納税したという記録が残り、仮に監査をされても、何も問題になる事はありません。
複数ある法人、違う法人名義のカードで払ってしまった
中小企業にて複数のグループ企業があり、1つの会計・経理部が全てのグループ企業の財務管理をするという事は、規模の大きさ上、よくある事です。
その際に、違う法人名義のカードで他の法人の納税をしてしまったという事は起こりうる事です。(銀行振込の場合も同様)この際でも、上記の場合と同様、慌てる事はありませんし、税務署側からすると、何も問題はありません。
上記の場合と同様に、問題なのは社内の会計上の記録です。
この際は、払ってもらった会社が、間違って払ってしまった会社の口座に支払いをする必要があります。こうする事により、経費として計上できます。この際、会社間の支払いの記録は必ず残しておくようにしましょう。
仮に監査を受けた際、金額によっては質問を受ける可能性がありますので、きちんと説明できるようにしておいた方が無難です。
おすすめの法人クレジットカード
では、法人税を払うのに利用できる、おすすめのクレジットカードはどれでしょうか?
クレジットカードの選び方は、個人・法人の場合と同じでしょうが、金利、年会費、ポイントの還元率、利用限度額などを考慮して選びましょう。
ここで、注目したいのが年会費です。年会費が無料というカードは確かに魅力的ですが、よく見ると、年会費があるカードより金利が悪かったり、特典がなかったりします。よって、年会費だけで見るのではなく、全体的な要素を考慮して選ぶようにしましょう。
おすすめしたいのが、JALカードやANAカードなど、航空会社のクレジットカードです。これらのカードは、買い物をすると通常のポイントと共にマイルも付与されます。それなりの規模の法人ですと、年間それなりの利用額になると思いますので、場合によっては航空券を貰える可能性があります。
例:
JALの場合:東京ー大阪国内線往復チケット 15000マイル必要カード利用額300万円にて上記チケット還元 (1マイル200円で計算)
まとめ
諸外国に遅れること、2017年にようやく日本でもクレジットカードによる納税が出来るようになりました。地方自治体によっては、まだその機能がない場所もあるようですし、税務所の窓口やコンビニでは使えないという不便さはまだ残っています。これはおそらく、日本国内のカードの普及率や利用率からくるものがあるかと思いますが、支払いの決済の世界トレンドは、「スマホ決済」となる今日、早い改善を期待したいところです。
インターネットを使えば、クレジットカードでの支払いは可能で、カードの特質を利用した”後払い”や”分割払い”が可能となり、経理を管理する人にとっては便利性が増えました。
カードを使えば、金利や年会費などがかかる場合もありますが、上手に利用し、航空会社のカードなどのマイルによる航空券の還元などを利用すれば、会社の運営に有利な使い方も可能になります。