VC投資額はどのように推移してきたのか?コロナ時代と今後の予測!
事業展開のために、VC(ベンチャーキャピタル)から資金調達を狙っているベンチャー企業が非常に多いですが、現在は新型コロナウイルスの影響を無視することができません。今後、国内VC投資額はどのように推移していくのでしょうか。
- ・VC投資額はどのように推移してきたのか?
- ・今後コロナの影響を受けてどのように推移していくのか?
今回は、このような疑問にお答えします。
過去5年分の国内VC投資額の推移の確認、そして現在までの今年2020年のデータを比較し今後の動きを考察していきます。この記事を読むことで、今までとこれからの国内VC投資額の推移について、全てご理解いただけます。
【2014年~2019年】の国内VC投資額・投資件数推移
一般社団法人ベンチャーエンタープライズセンターによると、2014年から2019年の国内VC投資状況は下記の通りです。
国内VCは過去5年間で投資額・投資件数共に伸び続けていることが分かります。
また、2019年には1件あたりの投資額も大幅に上昇しています。
一体、何が国内投資額に影響をするのでしょうか。考えられる要因は、下記の通りです。
- ・世界的な金融緩和の影響によりVCに投資マネーが流入し、国内のファンドが大型化した
- ・IT業界に新たなサービスが続々と開発されている(シード・アーリー期へ投資割合が大きいため)
【2018年~2020年8月】国内VC投資金額ランキングトップ10位推移
次に、2018年から2020年8月の国内VC投資金額ランキングは下記の通りです。
2018年 | 2019年 | 2020年(1~8月) | ||||
順位 | 社名(サービス名) | 資金調達金額(億円) | 社名(サービス名) | 資金調達金額(億円) | 社名(サービス名) | 資金調達金額(億円) |
1 | Japan Taxi | 123 | EPARK | 200 | Mobility Technologies | 266 |
2 | FOLIO | 70 | Paidy | 172 | VPP Japan | 266 |
3 | freee | 65 | スマートニュース | 100 | ティアフォー | 98 |
4 | Spiber | 62 | フロムスクラッチ | 100 | ヘイ | 91 |
5 | Finatextホールディングス | 60 | ティアフォー | 90 | APB | 90 |
6 | Paidy | 59 | Synspective | 86 | Looop | 58 |
7 | WHILL | 58 | MUJIN | 75 | Inagoraホールディングス | 53 |
8 | FiNC Technologies | 57 | PECO | 67 | Paidy | 52 |
9 | お金のデザイン | 57 | ウェルスナビ | 67 | ベルフェイス | 52 |
10 | メルカリ | 50 | Spiber | 65 | H.I.F | 50 |
2020年1~8月は、多くの企業が新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けています。
しかし、上位企業の投資額は2018年・2019年と比較してあまり大きな金額の差がありません。
1位の企業に関しては、2019年よりも高い金額を調達しています。
どんなピンチの中にも必ずチャンスがあるということですね。
コロナ後の国内VC投資額推移について
新型コロナウイルス感染拡大による、今後の国内VC投資金額推移への影響について見ていきましょう。
一般社団法人ベンチャーエンタープライズセンターによると、2019年と2020年の第1、2期(1〜6月)国内VC投資状況比較は下記の通りです。
2019年 1~6月 |
2020年 1~6月 |
|
投資金額 | 1,016億円 | 747億円(36%) |
投資件数 | 729件 | 583件(146件減) |
一件あたりの投資額 | 1億3,937万円 | 1億2,813万円(8%減) |
また、2019年と2020年第2期(4~6月)の「業種別投資動向」は下記の通りです。
業種分類 | 2019年4~6月 金額・比率 |
2020年4~6月 金額・比率 |
---|---|---|
通信・ネットワーキングおよび関連機器 | 2.7億円 0.5% |
3.5億円 1.0% |
コンピュータ及び関連機器、ITサービス | 247億円 48.5% |
144.1億円 41.1% |
ソフトウェア | 19.4億円 3.8% |
9.9億円 2.8% |
半導体、電機一般 | 28.1億円 5.5% |
1億円 0.3% |
バイオ、製薬 | 57.7億円 11.3% |
41.9億円 11.9% |
医療機器、ヘルスケアサービス | 23億円 4.5% |
8.8億円 2.5% |
工業、エネルギー、その他産業 | 64.9億円 12.7% |
61.2億円 17.5% |
メディア、娯楽、小売、消費財 | 57.5億円 11.3% |
50.3億円 14.3% |
金融・不動産、法人向けサービス | 9.3億円 1.8% |
29.9億円 8.5% |
最後に、「ステージ別投資動向」は下記の通りです。
ステージ | 2019年4~6月 金額(億円) 比率 |
2020年4~6月 金額(億円) 比率 |
---|---|---|
シード | 53.2億円 14.1% |
30億円 14.0% |
アーリー | 213.3億円 56.4% |
102億円 47.7%(8.7%減) |
エクスパンション | 87.3億円 23.1% |
67.1億円 31.4%(8.3%増) |
レーター | 24.1億円 6.4% |
14.7億円 6.9% |
上記のデータからコロナ時代の国内VC投資についてわかることは、下記の通りです。
- ・全体の投資金額・投資件数は減少しているが、一件あたりの投資額はあまり減っていない
- ・資金調達金額が多い業種は、ほとんど同じ順位を保っている
- ・アーリーステージは出資を受けにくくなっている一方、エクスパンションステージは受けやすくなっている
- ・コロナ時代のニーズを正しく捉えている企業であれば、極端に資金調達がしにくいというわけではない
VC以外にも、個人投資家から出資を受けるという方法もあります。
個人投資家は、個人の裁量で出資するか否かを判断するので、コロナ時代でも熱意があれば資金調達が可能かもしれません。
詳しくは、下記のサイトをご覧ください。
まとめ
VC(ベンチャーキャピタル)とは、投資家などから集めた資金をベンチャー企業に代理出資する会社です。
後にその出資先企業が株式公開した際に、キャピタルゲインを得ることを目的としています。
一般社団法人ベンチャーエンタープライズセンターのデータによると、2014年〜2019年にかけて国内VC投資額・投資件数は共に伸び続けていることが分かります。
原因は、世界的な金融緩和とIT業界の盛り上がりによるものと考えられます。
2019年と2020年の第1、2期(1~6月)国内VC投資額状況比較を見ると、全体の投資金額・投資件数は減少しているが、一件あたりの投資額はあまり減っていないことが分かります。
この傾向は、2018年〜2020年8月までの国内投資金額ランキングにも表れています。
コロナの影響を受けている2020年の上位企業の投資額は2018年・2019年と比較してあまり大きな金額の差がなく、1位の企業に関しては、2019年よりも高い金額を調達しています。
従って、コロナ時代のニーズを正しく捉えている企業であれば、極端に資金調達がしにくい・投資金額が少ないというわけではないということが分かります。