【投資金額ランキング付き】VC投資額とコロナの関係性とは!?過去と未来を徹底考察
企業が事業展開のために資金調達をしたいと考えた場合、VCを活用することが多いと思います。
しかし、現在は「コロナ時代」と呼ばれる、イレギュラーのタイミングになってしまいました。
コロナは、VC投資額にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
- VC投資額はいくら位なのか?
- コロナの影響を受けて、今後VC投資額はどのように変化するのか?
今回は、このような疑問にお答えします。
2019年の国内VC投資額を見ていきながら、今後の投資額の変動について考察していきましょう。
この記事を読むことで、過去と未来の国内VC投資額について、またVCから資金調達をする方法まで、全てご理解いただけます。
2019年の国内VC投資金額について
2019年の国内VC投資額について解説します。
一般社団法人ベンチャーエンタープライズセンターによると、2018年と比較して2019年のVC投資状況は下記の通り変化しました。
2018年 | 2019年 | |
投資金額 | 1,361億円 | 2,162億円(58.9%) |
投資件数 | 1,287件 | 1,436件(149件増) |
一件あたりの投資額 | 1億634万円 | 1億5,1000万円(42%) |
2019年の国内VC投資金額は、2018年と比較すると約60%増加し、2013年以降では過去最高額を記録しました。
従って国内VC投資金額は、5年連続で増加し続けていることになります。
このような大幅な増加を説明する最も有力な原因は、世界的な金融緩和の影響によりVCに投資マネーが流入し、国内のファンドが大型化したことであると考えられています。
2019年の国内VC投資金額ランキングトップ10位
2019年の国内VC投資金額ランキングトップ10位について解説します。
上位10社のランキングは下記の通りです。
順位 | 社名 | サービス名/内容 | 資金調達額(億円) |
---|---|---|---|
1 | EPARK | 人気施設の予約・順番受付サイト「EPARK」 | 200.6 |
2 | Paidy | 後払い決済サービス「Paidy」 | 172.5 |
3 | スマートニュース | ニュースアプリ「SmartNews」 | 100 |
4 | フロムスクラッチ | マーケティングプラットフォーム「b→dash」 | 100 |
5 | ティアフォー | 「Autoware」を活用した自動運転システムの開発 | 90.2 |
6 | Synspectiv | 衛星データを使用したソリューションサービス | 86.7 |
7 | MUJIN | 産業用ロボットコントローラ開発 | 75 |
8 | PECO | ペット専門メディア「PECO」等 | 67.2 |
9 | ウェルスナビ | 資産運用ロボアドバイザー「WealthNavi」 | 67 |
10 | Spiber | 人工合成クモ糸「クモノス(QMONOS)」 | 65 |
2019年の国内VC投資の業種別動向では、「コンピュータおよび関連機器・ITサービス」が46.4%を占めています。
上記のランキングからも、ほとんどがこの業種に当てはまることが分かります。
やはり今の時代は、IT業界が将来性があると判断されています。
コロナの影響による今後の国内VC投資額について
新型コロナウイルス感染拡大による、国内VC投資金額への影響について見ていきましょう。
一般社団法人ベンチャーエンタープライズセンターによると、2019年と2020年の第1、2期(1〜6月)国内VC投資状況比較は下記の通りです。
2019年1~6月 | 2020年1~6月 | |
投資金額 | 1,106億円 | 747億円(36%減) |
投資件数 | 729件 | 583件(146件減) |
一件あたりの投資額 | 1億3,937万円 | 1億2,813万円(8%減) |
また、2019年と2020年第2期(4~6月)の「業種別投資動向」は下記の通りです。
業種分類 | 2019年4~6月 金額(億円) 比率 |
2020年4~6月 金額(億円) 比率 |
---|---|---|
通信・ネットワーキングおよび関連機器 | 2.7億円 0.5% |
3.5億円 1.0% |
コンピュータ及び関連機器、ITサービス | 247億円 48.5% |
144.1億円 41.1% |
ソフトウェア | 19.4億円 3.8% |
9.9億円 2.8% |
半導体、電機一般 | 28.1億円 5.5% |
1億円 0.3% |
バイオ、製薬 | 57.7億円 11.3% |
41.9億円 11.9% |
医療機器、ヘルスケアサービス | 23億円 4.5% |
8.8億円 2.5% |
工業、エネルギー、その他産業 | 64.9億円 12.7% |
61.2億円 17.5% |
メディア、娯楽、小売、消費財 | 57.5億円 11.3% |
50.3億円 14.3% |
金融・不動産、法人向けサービス | 9.3億円 1.8% |
29.9億円 8.5% |
最後に、「ステージ別投資動向」は下記の通りです。
ステージ | 2019年4~6月 金額(億円) 比率 |
2020年4~6月 金額(億円) 比率 |
---|---|---|
シード | 53.2億円 14.1% |
30億円 14.0% |
アーリー | 213.3億円 56.4% |
102億円 47.7%(8.7%減) |
エクスパンション | 87.3億円 23.1% |
67.1億円 31.4%(8.3%増) |
レーター | 24.1億円 6.4% |
14.7億円 6.9% |
上記のデータからコロナ時代の国内VC投資についてわかることは、下記の通りです。
- ・全体の投資金額・投資件数は減少しているが、一件あたりの投資額はあまり減っていない
- ・資金調達金額が多い業種は、ほとんど同じ順位を保っている
- ・アーリーステージは出資を受けにくくなっている一方、エクスパンションステージは受けやすくなっている
- ・コロナ時代のニーズを正しく捉えている企業であれば、極端に資金調達がしにくいというわけではない
VC以外にも、個人投資家から出資を受けるという方法もあります。
個人投資家は、個人の裁量で出資するか否かを判断するので、コロナ時代でも熱意があれば資金調達が可能かもしれません。詳しくは、下記のサイトをご覧ください。
まとめ
VC(ベンチャーキャピタル)とは、投資家などから集めた資金をベンチャー企業に代理出資する会社です。
後にその出資先企業が株式公開した際に、キャピタルゲインを得ることを目的としています。
2019年の国内VC投資金額は、2013年以降では過去最高額を記録しました。国内VC投資金額は5年連続で増加し続けています。
他にも、投資件数は149件増加し、一件あたりの投資額は42%増加しました。
上述したように、これらの大幅な成長は、世界的な金融緩和の影響によりVCに投資マネーが流入し、国内のファンドが大型化したことであると考えられています。
2019年の国内VC投資金額ランキングトップ10の多くは、「コンピュータおよび関連機器・ITサービス」に属する、多くの人が一度は見聞きしたことがあるサービスです。
1位の「EPARK」は200.6億円、そして10位の「Spiber」は65億円を調達しました。
一般社団法人ベンチャーエンタープライズセンターのデータを比較することで、コロナ時代の国内VC投資額変動について考察することが可能です。
全体の投資金額・投資件数は減少していますが、一件あたりの投資額はあまり減っていません。
また、資金調達金額が多い業種はほとんど変化していない一方で、ステージ別ではアーリーへの投資が減り、エクスパンションへの投資が増えていることが分かりました。
これらの情報を元に、的確な判断を下しましょう。
〈メタディスクリプション〉
事業展開を目的に、VCから出資を受けたいベンチャー企業は多いです。しかし今は「コロナ時代」、VC投資額はどのような影響を受けているでしょうか。本記事では、昨年と2020年上半期の国内VC投資データを比較することで、この件を徹底的に検証します。