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起業時に銀行融資は受けられる?融資を受けやすい金融機関から審査ポイント7つを解説

「起業したいけど、銀行はお金貸してくれるのかな」

と、不安に思っていませんか。

もちろん、いざ起業するにしても、そのビジネスでの実績はゼロです。社会人としての経験はあるにしても、それだけで融資をしてくれるのか、不安に思うのも無理はありません。

しかし、これから起業する人でも、融資を受けやすい金融機関や制度は、きちんと整っています。その上で、融資を受けるならば避けて通れないのが、審査です。

本記事では、起業する時に融資を受けやすい金融機関や制度から、審査されるポイント7つを解説しています。

極めて基本的な話が中心ですが、きちんと知っておかないと、融資担当者との話に戸惑ってしまう内容ばかりです。また、せっかく融資を受けるなら、もうひと手間かけてぜひ活用したい助成金や補助金、またリース・レンタルについても、知ってほしいと思います。

起業時に融資を受けやすい銀行・金融機関ランキング

起業するときに融資を受けやすい銀行・金融機関をランキングでまとめました。各金融機関の性格についても、解説しています。

日本政策金融公庫

起業時に最も融資を受けやすい金融機関は、日本政策金融公庫です。国が全額出資している政府系金融機関で、実際に、起業する多くの事業者が、公庫による創業融資の制度を利用しています。

そのうちの「新創業融資制度」は、最大で3,000万円(運転資金の場合は1,500万円)もの融資を、原則、無担保・無保証で受けられる制度です。

融資を受けるには、融資金額の少なくとも10分の1の自己資金を準備する必要があるなどの、条件はあります。また借入金利も高めですが、担保も保証も必要ないことから、起業する際に極めて利用しやすい融資制度だと言えるでしょう。

信用金庫、信用組合

日本政策金融公庫の次に、起業時の融資を受けやすいのは、信用金庫または信用組合です。

信用金庫または信用組合は、極めて地域密着型の金融機関です。地方銀行と比べても、営業エリアは狭くなります。また、狭い地域での会員組織的な性格から、地域の事業者に対してはとても親身で、起業時の融資相談もしやすい金融機関です。

ただし、日本政策金融公庫では可能である、無担保・無保証で融資を受けるのは、とても厳しいです。現実には、後述する制度融資を利用することによって、融資を受けられることがほとんどです。

地方銀行

3番目に起業時の融資を受けやすい金融機関は、地方銀行です。

地方銀行も地域密着型の金融機関ですが、信用金庫や信用組合に比べると、より規模の大きな業歴のある企業に、大きな金額の融資を行います。したがって起業時の金額ほどの融資には、あまり積極的ではありません。

しかし地方銀行は、地方経済の中心的役割を果たす金融機関です。そこで、成長性が高く、将来の地方への貢献度が高いビジネスほど、起業時の融資を受けられる可能性は高まります。

ただしその場合でも、制度融資の利用を求められるでしょう。

都市銀行

都市銀行は、大都市に本店があり、全国展開している金融機関です。日本では東京都に本店がある「メガバンク」と呼ばれる銀行と、ほぼイコールと考えてよいでしょう。

都市銀行の融資先は大企業か、中小企業でも比較的規模が大きく業歴の長い企業がほとんどです。融資額も大きくなります。したがって、起業時の融資にはほとんど対応していません。

もちろん、融資を受けられる可能性がないわけではありません。ただ、可能性が小さく難しい割に、融資を受けるメリットもさほどないでしょう。

特に地方の場合、信用金庫や地方銀行から融資を受けた方が、地元の顧客を紹介してもらえたり、地方のビジネスに有益な情報などをもらえたりする可能性が高いです。

ウラケン
ウラケン
地方には、都市銀行の支店はほとんどありません。東京や大阪などの都市部以外で融資を相談できるのは、実質的に地方銀行までです。

起業時は基本的に制度融資が必須

起業するにあたり、日本政策金融公庫以外の金融機関から融資を受けるには、ほぼ間違いなく制度融資の利用を求められます。ここでは、制度融資と制度融資に欠かせない信用保証協会について、わかりやすく解説します。

信用保証協会とは

制度融資を理解するには、まず信用保証協会を理解する必要があります。

信用保証協会は、事業者(ここでは起業者に限らない)が金融機関の融資を受ける際に、融資の保証をしてくれる機関です。事業者が融資を返済できなくなった場合、保証協会は保証割合に沿って、事業者に代わって金融機関に返済します。

この仕組みを金融機関側から見ると、

万が一融資先が倒産などで返済不可能になっても、信用保証協会が代わりに返済してくれるということです。したがって返済されないリスクが極端に減るので、思い切った融資もしやすくなります。

また事業者側から見ると、事業の規模や業績、実績が芳しくないため、金融機関との相対取引では受けられない融資でも、受けやすくなります。

制度融資とは

制度融資とは、この信用保証協会の保証が、地方自治体の認定の元に行われた融資のことです。制度融資では、保証割合は100%。つまり全額保証です(制度融資でない一般の保証もあり、この場合の保証割合は通常80%)。

事業者が制度融資を利用したい場合、まずは事業者が希望する融資について、地方自治体の認定を得ます。それをさらに信用保証協会が審査したうえで、保証を決定します。最後に金融機関が融資の実行を審査し決定した上で、融資が行われます。

したがって3段階の審査を受ける融資制度と言えますが、実質的には信用保証協会が保証を決定すれば、よほどのことがない限り、金融機関は融資をしてくれます。

制度融資が必須の理由

起業時に制度融資の利用が必要な理由は、金融機関にとって、事業実績のない事業者には、プロパー融資をすることが難しいからです。

プロパー融資とは、業績や業歴のある事業者に対し、担保や保証の交渉をして行われる融資のことです。相対取引で行われるこのプロパー融資は、融資金額やそれに伴う収益が大きい分、ある程度の返済されないリスクを許容してでも、行われる性格を持っています。

起業する人には、業績や業歴がありません。

また担保にできるような資産も持っていないことがほとんどなので、プロパー融資はほぼ不可能です。そこで起業時には、制度融資の利用が求められることになります。

制度融資の利用にあたっては、融資を受けたい金融機関、または各都道府県の信用保証協会で、相談できます。

ウラケン
ウラケン
金融機関は、プロパー融資とは全く反対に、制度融資には積極的なことが多いです。あまり不安にならずに相談してよいでしょう。

銀行・金融機関が起業時の融資審査をするポイント7つ


起業時に限らないことですが、金融機関や信用保証協会から融資を受けたい場合、必ず審査を受ける必要があります。

ここでは、起業する人を対象に、金融機関が融資審査をする際のポイントを7つ、解説します。

過去の経験や能力

金融機関は、起業する人に融資をするかを決めるにあたり、「過去の経験や能力」をとても重視します。

全く経験がないことで起業するより、経験を積んで実績のある分野で起業する方が、起業後もビジネスを続けられると判断できるためです。この場合、資格や許認可、有名な企業等での就業や修行歴があると、好材料になります。

事業と返済計画

「事業と返済計画」も、融資審査の大事なポイントです。

融資を受ける、受けないにかかわらず、起業するにあたっては、まず事業計画を立てるはずです。一般的には、3年後から5年後くらいまでの事業予定や売上・利益などを考えるでしょう。

ただ、金融機関は融資をする以上、返済計画の方を重要視します。いくら売上が大きくても、利益がなければ返済はできませんので、返済計画は利益を強く念頭に入れたものにするべきです。

売上が計画の7割ほどでも、返済ができる利益くらいは残せる計画にしておくとよいでしょう。

「資金繰表」「キャッシュフロー計算表」などを作るのも有効です。

効率の良い資金繰り表の作り方は下記の記事をお読みください。

【実は超簡単】資金繰り表の2つのタイプの比較と作成手順について徹底解説

資金使途

起業時に融資を受ける際の資金使途は、ほぼ間違いなく設備資金または運転資金に限られます。

設備資金はその名の通り、設備の購入に充てる資金です。オフィスであれば机や椅子、OA機器から内外装など、店舗であればテーブルや看板から厨房機器など、大きな金額が必要な設備投資のための資金です。

運転資金を一言でいえば、「会社を運営するのに必要な資金」です。事業には様々な経費が掛かりますが、通常は経費の支払が先で、売上の入金が後になるため、この支払と入金の間の資金が不足します。運転資金は、この不足分のための資金です。

自己資金

融資を申し込むのは、自己資金が足りないからとも考えられます。しかし、結論から言うと、自己資金はできるだけたくさんある方が、融資も受けられやすいです。

これは矛盾するようですが、金融機関の考え方としては単純で、自己資金がある方が計画通りに事業ができなくても、返済は続けられるからです。

担保・保証

担保や保証をつけると、融資を受けやすくなります。

ただ、起業時に金融機関から融資を受ける場合、そのほとんどは制度融資の利用によります。

これは考え方としては、起業する人が保証協会にお金(保証料)を払って保証人をお願いしている形であり、担保までは求められません。したがって保証協会を利用するならば、担保についてはほぼ考えなくてもよいでしょう。

ただし制度融資を利用する場合でも、保証人は必要です。

未納・滞納の有無

日本政策金融公庫では、融資の審査にあたり、税金の支払状況を確認します。当然ながら、未納や滞納があると、融資を受けられない可能性が高くなります。

また、その他の金融機関でも、納税証明書などの提示を求められることがあります。制度融資を利用する際の、保証協会も同様です。

定性評価

定性評価とは、端的に言うと「人となり」です。

最終的に起業する人を信用して、融資の決断を下すのは、人です。「信用に値する人だ」と思ってもらわなければ、融資、つまりお金を貸してもらえないというのは、言うまでもありません。

しかし、身構える必要はありません。起業しようと思っているのであれば、何とか世の中のお役に立ちたいと思っていることでしょう。その気持ちがあるのでしたら、面談で思いの丈を話して、相談してみましょう。

自然と「信用に値する人」に、なっているはずです。

ウラケン
ウラケン
金融機関への融資相談は「面接」ではないので、それほど身構えなくてよいでしょう。説明をよく聞いたり、素直に質問したりする姿勢の方が大事です。

融資以外の資金調達方法


融資審査のポイントを解説しましたが、かなりのポイントを深く検討しなければいけないことを、ご理解いただけたと思います。そしてその過程で、資料作成など、決して楽ではない手間を要求されることも確かです。

しかし融資を受けるのに、大変な手間をかけるなら、融資以外に資金を得る手段も検討するべきです。なぜなら、融資審査のためにかけた手間をベースに、もうひと手間加えるだけで、融資よりメリットの大きい資金調達も可能だからです。

助成金・補助金

政府や各地方自治体では、起業を支援する補助金・助成金の制度を、多数設けています。補助金や助成金は融資と異なり、返済をする必要はありません。
対象となる事業や条件などは、制度によって千差万別です。ただ、地方自治体が設けている補助金・助成金は、通常、事業所をその自治体に登記していることが条件となっています。

一般的には自治体の補助金・助成金の方が、相談も利用もしやすいと言えます。県や政令指定都市には、起業を支援している外郭団体等があり、そこが助成金や補助金の相談・受付窓口になっているケースが多いです。

その他の自治体でも、商工会議所や市役所で、起業の相談窓口を持っていることがほとんどです。

起業するにあたっては、ぜひ助成金や補助金の活用も検討しましょう。

リース・レンタル

直接に資金を得る手段ではありませんが、金額の大きな設備や機器などは、リースやレンタルを活用する手段もあります。

リースとレンタルは異なる点も多々ありますが、共に「借り受ける」形の契約形態です。コピー機などのOA機器は、よくリース契約が利用されます。この場合、コピー機を自分の所有物のように使用できますが、自分の所有物にはなりません。

リースやレンタルの利用にも審査はありますが、通常は金融機関の審査ほど厳しいものにはなりません。また利用すれば、毎月の費用は増えますが、起業時の初期投資額を抑え、かつその分の自己資金を手元に残しておくことができます。

ウラケン
ウラケン
助成金や補助金は通例、その活用による実績報告が求められます。返済は必要なくても、説明責任があることには注意しましょう。

起業時は借りやすい銀行・金融機関から借り、補助金も積極的に使おう!

起業時に銀行などから融資を受けるには、まず日本政策金融公庫へ相談するとよいでしょう。起業する人のための制度も整っていますし、利用する人も多く、話が早いです。

一方で地方銀行など、地元の金融機関から融資を受けると、顧客の紹介や地方ビジネスに有益な情報などを、提供してくれることがあります。地域のビジネスにおけるつながりという点で、このメリットも小さくないので、積極的に検討してみるのもよいでしょう。
また、.銀行などが起業時の融資審査をするポイントを7つ、紹介しました。いずれも大事なポイントですし、金融機関の考えを理解しておくことで、相談も要求への対応もしやすくなります。

助成金や補助金、リースやレンタルも、積極的に活用するとよいでしょう。自己資金が増えることで、銀行などの融資が受けやすくなることがあります。