【超簡単】資金繰り表の読み方と活用方法について!~画像を用いてわかりやすく解説~
作成することで、急な現金不足による資金ショートを未然に防ぐ可能性が格段に上がる「資金繰り表」。
会社経営には必須の資料であると分かっていても、数字が苦手な方にとっては作成・運用は大変な作業かもしれません。
私も最初は非常に苦労しましたが、今では資金繰り表なしでは会社経営ができないほど、常に活用する資料になりました。
・資金繰り表はどうやって作るの?
・資金繰り表はどのように読めばいいの?
今回は、このような疑問にお答えします。
資金繰り表の最も簡単な作成・活用方法について詳しく見ていきましょう。この記事を読むことで、資金繰りの作成方法、および読み方について全てご理解いただけます。
目次
資金繰り表とは
資金繰り表とは、日・月・年毎の現金収支をまとめた表のことを指します。項目毎に現金収支を分類・集計し、一覧で現金の流れが見えるようにします。
資金繰り表を作るメリットは下記の三点です。
・資金予測をすることで、将来に必要な現金の準備が可能
・実績の振り返りが可能
・外部向けの資料として利用可能
資金繰り表の最大のメリットは、今後必要になる現金を予測することで、資金ショートを未然に防ぐことができる可能性が高くなることです。
もし資金がショートする危険性があると気づいた場合は、資金調達・コスト削減などの対応をすることができます。
過去に作成した資金繰り表の資金予測と、実績を比較することで、予測の精度を測ることができます。特に問題なのは「実績が予測を下回った時」です。表を元に原因を追求し、リスクを回避する施策を講じましょう。
また、資金繰り表はそのまま金融機関等から融資を受ける際の資料として利用できます。信用に直結する大切な資料なので、急遽作成するのではなく時間をかけて丁寧に作り上げることが重要です。
資金繰り表の作成方法
資金繰り表の作成方法について解説します。
資金繰り表に必要な3つの項目
資金繰り表に絶対的なフォーマットはありません。しかし、下記の三つの項目は必須です。
・経常収支(通常の営業活動による収支)
・経常外収支(営業活動外の収支)
・財務収支(金融機関等からの借入・返済)
それぞれをさらに詳しく見てみましょう。
経常収支
収入 | ・現金売上 ・売掛金 ・手形期日落 ・手形割引 ・受取利息 |
---|---|
支出 | ・現金仕入れ ・買掛金 ・手形決済 ・賃金給与 ・支払利息 |
経常外収支
収入 | ・固定資産等売却収入 |
---|---|
支出 | ・税金 ・役員賞与配当 ・固定資産等購入支払 |
財務収支
収入 | ・調達した借入金 ・定期預金の取り崩し分 ・増資 |
---|---|
支出 | ・借入金返済 ・定期預金預入 |
エクセルでの資金繰り表の作り方
簡単な資金繰り表であれば、エクセルを利用して作ることができます。ぜひ無料のテンプレートを活用しましょう。
下記の三つは特に初めて資金繰り表を作成する方におすすめです。
・社長の会計管理道(おすすめ度★★★)
・日本政策金融公庫(おすすめ度★★)
・スモビバ(おすすめ度★)
上記三つの中でも、最も作成の難易度が低いのは「社長の会計管理道」です。
社長の管理会計道 資金繰り表の作り方!初心者や挫折した方も5つのポイントをプロが直伝
実際に「社長の会計管理道」をテンプレートを使って資金繰り表を作成しましょう。
資金繰り表のテンプレートがダウンロードできます。各項目に必要な情報を記載すると、自動的に計算される数式が組み込まれています。
まずは、「開始残高」です。賃借対照表に記載されている「現金及び預金」を、決算月の翌月の「前月残高」に記入します。
次に、「借入返済」です。借入返済予定表に記載されている額を「長期返済」に入力します。なお、厳密には毎月の返済額は異なりますが、ここでは一旦定額で設定します。
次に、支出関係を記入していきます。まず「税支出」です。賃借対照表に記載されている「法人税」「消費税」をそれぞれ記入します。ただし、消費税は納付回数等も複雑なので、それぞれの支払い方法を確認しましょう。
次に、「固定支出」です。販売費および一般管理費明細書に記載されている「役員報酬」「給与」「法定福利費」「その他経費(定期支出)」をそれぞれ記入します。「その他経費」からは、必ず減価償却費を引きましょう。
「賞与」「その他経費(非定型支出)」をそれぞれ指定の月に記入します。なお、本テンプレートには「その他経費(非定型支出)」はありません。必要に応じて「賞与」の下の欄に作成しましょう。
最後の支出は「原価支出」です。もし、原価の予測ができない場合は、前年度の損益計算書に記載されている「売上原価」÷「売上高」で「原価率」を算出し、率が同じになるように予測しましょう。
最後に、収入関係を記入していきます。まず「売上収入」です。損益計算書に記載されている「売上高」を入力します。
資金調達をしている場合は「調達」の欄に入力します。
作成用ツール
資金繰り表を作る専用のツールもあります。エクセルのように無料ではありませんが、データを入力することにより自動的に資金繰り表を作成してくれます。手間を省くこと、またデータの精度を高めることができます。
最も有名なものを3つご紹介します。
・クラウド会計フリー(おすすめ度★★★)
・銀行さん(おすすめ度★★)
・弥生会計(おすすめ度★)
上記3つの中でも、最もおすすめは「クラウド会計フリー」です。
クラウド会計ソフトフリー
実際にクラウド会計ソフトフリーを活用して、資金繰り表を作成しましょう。
会計freeeには、3つのプランがあります。
プランを選択し、必要事項を入力すると利用を開始できます。
「レポート」タブの「資金繰りレポート」をクリックします。
自動で作成された資金繰り表・グラフが表示されます。データはCSVダウンロードすることも可能です。
資金繰り表の読み方 4つのポイント
資金繰り表の読み方を4つのポイントに分けて解説します。
①経常収支の黒字・赤字
経常収支とは、通常の営業活動による収支です。そして資金繰り表において、最重要の項目といえます。
「経常収入-経常支出」が、黒字か赤字かを確認しましょう。短期的に赤字があったとしても、それが長期的に続いた場合は危険です。資金繰りの見直しが必要です。
経常収入 | ・現金売上 ・売掛金 ・手形期日落 ・手形割引 ・受取利息 |
---|---|
経常支出 | ・現金仕入れ ・買掛金 ・手形決済 ・賃金給与 ・支払利息 |
②月末時点の資金残高・3ヶ月後の繰越現金
月末時点で、現金を含む預金残高がいくら残っているかを確認しましょう。また、最低でも3ヶ月後、理想は6ヶ月後も黒字であるかどうかが非常に重要です。
仮にこの項目が赤字である場合は、どこかのタイミングで債務の支払いが不可能になるということです。事実上、倒産寸前ということになりますので、迅速に対応する必要があります。
③「経常収支-財務収支」の黒字・赤字
財務収支とは、金融機関等からの借入・返済の収支です。「経常収支-財務収支」が、黒字か赤字かを確認しましょう。もし赤字であった場合、営業活動による売上で金融機関からの借入の返済ができなくなっているということです。
経常収支 | 経常収入 ・現金売上 ・売掛金 ・手形期日落 ・手形割引 ・受取利息 経常支出 |
---|---|
財務収支 | 財務収入 ・調達した借入金 ・定期預金の取り崩し分 ・増資 財務支出 |
④経常外収支のバランス
経常外収支とは、営業活動外の収支です。この項目には、設備投資などの情報が記載されるため、原則赤字になります。しかし、行った投資に対して十分なリターンがあるか否かを、確認する必要があります。
ただし、そのリターンが何であるか、いつ頃回収予定なのかはその投資によりますので、全て一つのルールにまとめることはできません。
経常外収入 | ・固定資産等売却収入 |
---|---|
経常外支出 | ・税金 ・役員賞与配当 ・固定資産等購入支払 |
資金繰り表のアドバイザー
資金繰り表を作成した後は、そこから情報を読み取り、実際に行動を起こす必要があります。
しかし、その表が正しく作成されているのか、また具体的にどのように対処すれば良いのかを判断することは極めて難易度が高いです。
そこで、資金繰り表の作成と運用方法について相談できるアドバイザーを二種類解説します。
・税理士
・経営コンサルタント
税理士とは、経理を元に税務申告を行ったり、節税対策を行う税金のプロです。
一方経営コンサルタントとは、経営状態やその問題点を調査・分析することで原因を究明し、経営改善のための対応策を提案するコンサルタントです。
経営戦略、財務、生産効率、人事、営業、マーケティングなどあらゆる分野に関して、相談することが可能です。
両者の最大の違いは、「資格が必要であるかどうか」です。税理士になるためには国家資格が必要ですが、経営コンサルタントは誰でも名乗ることができます。
税理士には、税理士にしか取り扱うことができない「独占業務」があります。税務代理、税務書類作成、税務相談などがそうです。
しかし、その一方で税理士はあくまでも税金のプロなので、経営コンサルタントのように広い分野について相談することはできません。両者は一長一短なので、しっかりと吟味して選択しましょう。
詳しくは、下記のページをご覧ください。
まとめ
資金繰り表は、急な現金不足による資金ショートを未然に防ぐ可能性を格段に上げてくれる、全ての会社に必須の資料です。日・月・年毎の現金収支を分類・集計することで、一覧で現金の流れが見えるようになります。
資金繰り表には、絶対的なフォーマットはありませんが、「経常収支」「経常外収支」「財務収支」の三つの項目は必須です。これらの項目を埋めるために、直近の決算書・借入返済予定表を準備しましょう。
資金繰り表をスムーズに作成するためには、エクセルテンプレート、もしくは作成用専用ツールのいずれかから選択可能です。エクセルテンプレートは無料ですが、記帳と管理には手間がかかります。
作成用専用ツールは月額でコストがかかる一方、自動で表が完成します。
エクセルテンプレートを利用する場合には「社長の会計管理道」を、作成用ツールを利用する場合は「クラウド会計フリー」がおすすめです。それぞれの具体的な活用方法について解説しました。
資金繰り表の読み方には4つのポイントがあります。この4つのポイントを適宜確認することにより、会社が倒産するリスクを大幅に下げることが可能です。
また、資金繰り表の作成・読み方、またその後の対策について相談をする場合は、税理士、もしくは経営コンサルタントにしましょう。税理士は国家資格である一方で、あくまでも税金などに関わることしか原則相談できません。
経営コンサルタントは特別な資格が必要ないため仕事の質が保証されていませんが、経営に関わる幅広い分野について相談することが可能です。