【carip CEOインタビュー】業界研究で広げる自分の可能性~SE特化型業界研究動画プラットフォーム~

社会では、AIという単語が当たり前のように飛び交っています。おそらく、万能なツールという印象を持たれている方が多いでしょうが、現代社会ではみなさんが想像するようなAIはいまだに存在していません。

多くのバズワードを生むIT業界ですが、単語だけが先走ってしまい、その実情を知らないという人がほとんどではないでしょうか。

しかし、これからIT業界はさらに加速していきます。人材不足が叫ばれるこの業界は、今後どうやって諸外国と戦っていくのでしょう。

今回は、そんなIT業界の中でも、「SE(システムエンジニア)として働きたい学生」と企業をマッチングするサービス「carip(キャリップ)」を開発する、株式会社ジェイタマズのCEO坂本さんにインタビューして行きます。

業界を変えようとする坂本さんが見る、caripが描く未来をお話いただきました。

自己紹介
坂本真一
1988年生まれ、埼玉県出身。大学時代より10年以上飲食店を経験し、店舗責任者としてマネジメントを行う。ITによる店舗の変化を体感し、IT業界の可能性を社会へ還元することを決意する。

就活を控えた学生と1,000人以上接する中で、ITの力で解決できる共通の課題があることがわかり、株式会社ジェイタマズを設立。業界研究プラットフォームのcaripを通じて、IT業界の魅力を伝えながら「やりたい仕事」を見つけられる社会作りを目指している。

IT業界の印象を変える、SEの魅力を上げる動画のプラットフォーム”carip”

—まずは、caripというサービスについて、お伺いしてもよろしいでしょうか。—

caripは、SE(システムエンジニア)の業界研究を通じて、SEになりたい学生と企業をつなげるオンライン動画プラットフォームです。

IT業界の中に括られるSEという職種ですが、市場規模が爆発的に拡大していることもあってその全体像を掴むことは容易ではありません。

そのため、就活の入り口である業界研究を、動画で行えるサービスは大きな需要があるのではないかと考えています。

—caripでは動画をどのように活用しているのでしょうか。—

caripは「業界研究の講座を受けることができる」というコンセプトです。

そのため、caripにて配信される動画は、「講師がいて、学生がそれを聞いている」という形式のものがほとんどです。そして、その動画は、caripを利用していただく企業様と一緒に作っていきます。企業様は学生に対して、業界の知識を解説するだけではなく、自社についての魅力も動画を通して伝えることができる仕組みになっています。

—caripでは具体的にどのような解説を聞けるのでしょうか。—
多様な解説を用意しています。SEとしての働き方から、企業におけるSEの役割、SEとして入社するとどのようなキャリアプランを描けるのか、などです。

また、社会的に「男女問わず育休を取る動き」が活発化してきているので、その企業での育休の取得率や育休のリアルも配信していきます。

多くの企業様が自社のHPで紹介動画を掲載していますが、企業様の一部の情報しか発信できていないのが実情です。

企業様から見て魅力的な面だけではなく、学生から見て魅力的な面も伝えられているのかが重要だと考えているので、caripでは企業様のリアルに踏み込んで、一緒に動画制作を行なっていきます。

—企業のリアルを描いてくれるのは学生からしたらありがたいですよね。では、caripを利用することで、企業、学生の両者にはどのようなメリットがあるのでしょうか。—

まず学生からお話します。

学生のメリットは、「業界研究を手軽に行うことができる」という点です。やはり5Gが今後の世界では当たり前になっていくと言われる時代において、スマホでの動画の視聴率や動画への注目率は異常なものとなっています。

昔よりも身近になった動画で業界研究ができるというのは、学生にとっては大きなメリットです。

また、漠然と「IT業界で働きたい」「SEになりたい」と考えている学生は、適当な企業へ大量のエントリーをしているのが現実です。

その結果コストが非常にかかり、中途半端な状態で企業選びをしてしまうことになります。

企業のメリットでも触れましたが、業界研究という切り口で動画を見ることで、自然に「自分が全く知らなかった良い企業と接触している」という状況を作り出すことができるのです。

次に企業側のメリットです。

先ほどもお伝えしたように「自社の魅力を発信することができる」という点が挙げられます。

多くの企業様が既存の就活媒体を利用していますが、思うように差別化できていないのは周知の事実かと思います。埋もれてしまうんですよね。

高い掲載料を払っても、それを回収するだけの応募が来ない。その原因は、「魅力を的確に発信することができていない」ことにあると考えました。

加えて、caripは業界研究という就活の入り口にフォーカスしたサービスなので、多くの学生のリーチを獲得していき、企業へと深掘りをしていく際に「業界研究の動画がフックになる」という流れを作ります。

そのため、企業に対して、またSEに対して「興味を持っている学生と接触する」可能性も非常に高まります。この部分も、企業側がcaripを利用するメリットと言えるでしょう。

caripを実際に作っている側なので、メリットはたくさんあって、たくさん話したいんですけど、いったんは両者2つずつを挙げておきます笑

悩みの原因は”知らない”と”見えない”だと気がつく、だから僕はcaripを作った

飲食店で聞いた、これから社会に旅立つ学生の”本音”が僕を動かした。

—坂本さんが持つ、caripや就活への熱い想いを知ることができました。ありがとうございます。

ではここからはサービスを制作するに至った背景についてお伺いしたいと思います。坂本さんが持つその熱い想いは、何がきっかけで生まれたのでしょうか。—

大きく分けて2つの出来事がありました。

飲食店での経験と、弊社で働くエンジニアとの出会いです。

私はcaripで起業する前、大手飲食店チェーンで10年ほど働いていました。店舗責任者というやつですね。

10年間で10店舗以上を経験しました。みなさんご存知だと思いますが、飲食店で働く8割近くがアルバイトなどの非正規雇用者です。その中でも学生の数は群を抜いています。

10年間の中で、たくさんの学生と触れ合う機会があったのです。もちろん大学生が多いですから、大学やサークル、恋愛の話など、話のネタは尽きません。その中でも大学3年生を中心に会話のネタになるのが就活の話題でした。

「やりたいことが見つからない」
「何からしたらいいのかわからない」

ほとんどの学生が就活に対して確かな光を見つけられないまま就職して行ったのです。

長い間その現状を見てきたことで、就活の悩みが10年間変わっておらず、「就活市場は時代に合わせてもっとアップデートできる」と感じたことが起業のきっかけになりました。

また、私は元々理工学部だったので、大学生の頃からプログラミングに触れる機会がありました。

しかし、自分が就活をする際、「SEはプログラミングをする人」という漠然とした認識を持っており、そのままSEの道を歩むことはありませんでした。

そんな中で、大学時代から付き合いのあった弊社のエンジニアとSEに関する話をするうちに、IT業界への興味が湧いてきます。

よくよく考えてみれば、自分が飲食店で働く10年間の中で、レジやオーダーのシステムが次々と進化していったんですよね。

身近にITの発展があったにも関わらず、それに気がつくことができていなかったことが同時に悔しかった。

IT業界の素晴らしさ、SEという職種の幅広さを学生が知っていれば、もっとその業界に人が入っていくこともあるんじゃないのかなと考えています。

—そうだったんですね。そのような2つの原体験があったからこそ、起業にまで踏み切られたのだと思うんですが、もともと起業したいという想いはあったんですか。—

起業したいという想いはありませんでした。ただ、「何か新しいことにチャレンジしたい」という気持ちだけはずっと持っていました。

飲食店で働いている時からずっと。僕の中で起業することは手段でしかなかったので、caripという事業を構想したときに、たまたまその事業をやっている企業がなかったので、「会社を作ってしまえ」という気持ちで起業したのが始まりです。

その過程で協力してくれている2人との出会いがあったから起業できたというのもあるんですけどね。

社会のリアルを知らなくて就職した、メンバー2人の強烈な原体験

—坂本さん以外の2人の協力があっての起業だったというお話だと思うんですが、実際に2人も就活に関する原体験があったりするのでしょうか。—

2人とも、新卒で大企業に入社しているんです。傍から見たら「なんだ、就活成功しているんだ」と思われるかもしれませんが、2人の気持ちはそうではありませんでした。

なんとなく就活して、なんとなく大手を選んでしまった。自分たちのやりたいことはこれであってたんだろうか。そんな気持ちがあったみたいです。

1つの企業に絞り、その企業に受かるための就活をする。本来はもっと他の企業があったのに、目の前の「知っている企業」に飛びついてしまったんですね。

そこに対して強い後悔を持っていたのが2人です。そして、2人のように就活を終えてしまっている学生は、もっとたくさんいるんじゃないかなと思っているんです。

—では、皆さんが同じように、今の就活に対して課題感を持ってらっしゃるんですね。2人とはどういった経緯で出会われたんですか。—
エンジニアは、大学生の頃にしていたバイトが同じでした。マーケティング担当はエンジニアと同じ高校出身という繋がりです。

私がエンジニアと一緒に関西へ向かった際に、エンジニアがマーケティング担当を紹介してくれたんです。それが初めての出会いですね。

それがかれこれ7年ほど前でした。その当時から「将来何か一緒にやろう」という話はしていたんですが、私がcaripという事業を構想したタイミングで声をかけ、仲間として一緒に走り出して今に至ります。

”IT業界に就職するからcaripを”ではなく、”ITに興味があるからcaripを”に。

日本が向かうであろう暗い未来、それは”情報の解像度”を上げないと輝かない

—IT業界の就活を取り巻く課題についてお伺いしてもよろしいでしょうか。—
今後のIT業界には大きく分けて2つの未来があります。

1つ目が労働者の需給バランスが、需要過多になってしまうパターンです。人口減少が見込まれる中で、労働人口の減少も同時に訪れるでしょう。

しかし、社会的なITへの需要が減少することはありません。そのため、社会におけるITの需要が高いまま、供給が追いつかないという未来です。

2つ目が、供給過多とまでは言わないまでも、IT人材の供給が需要よりも多くなるというパターンです。日本の労働生産性は、先進諸国の中で最下位を維持し続けています。

そのために政府は働き方改革を押し進め、日本の労働生産性を向上させようと躍起になっています。また、多くの企業がITツールの発明に取り掛かっており、民間でも労働生産性を高めようとする動きが出ています。

これらの波が大きくなり、日本の労働生産性が現在の3倍以上になると、IT人材の供給量が勝るという試算です。ちなみに、ITへの需要の伸び率が最も低い場合に限る話なんですがね。

現実問題として、「今のままでは」労働生産性が向上する見込みはないのではないかというのが私の考えです。

—つまり、日本のIT業界では、ほとんどの確率でIT人材の需給が崩れ、需要過多になるということなんですね。それを解決する手段はないのでしょうか。—
あります。予想できる範囲では3つの解決方法を挙げることができます。1つ目がIT業界の生産性向上、2つ目がIT業界での労働者数増加、そして3つ目がIT業界からの離職率の低下です。

これらの方法のいずれかで成果を挙げることができれば、IT業界の需要過多を防ぐことができるでしょう。

—caripはそれらの課題解決に寄与していると考えているのですが、具体的にはどのようなアプローチになるのでしょうか。—

上述した順に解説していきます。

まず、新卒採用にはかなりの労力がかかります。各企業に「人事」という採用に特化した職種がある理由を考えれば明白です。

しかし、人事が担当している業務を削減できないかと言われると、そんなこともないはずです。頻繁に行う企業説明会や合同説明会、OBOG訪問など、社内の人事以外の従業員にもカバーしてもらいながら進めていく業務は、絶対に削減できるでしょう。

それらを動画というストックの資産にしてしまえば、毎度同じ説明をする必要もなくなります。つまり、人事の煩雑な業務はテクノロジーで解消できる部分があり、その結果生まれた余剰により、会社の生産性アップにリソースを割くことができます。

次に、従業員数について触れていきます。年々、IT業界で働く人材は増えています。しかし、IT業界の需要には追いついていないのが事実です。その原因は、幾度となく述べてきましたが、IT業界への知識不足と間違った情報の蔓延でしょう。

「ブラック企業がほとんどなんでしょ?」みたいな情報のことですね。caripを使うことで生の情報を就活生に届けることができるので、今までIT業界へ足を踏み出すことを躊躇っていた就活生にもリーチを広げることができます。

最後に、離職率についてです。そもそも従業員が会社を辞める最大の要因は、企業と従業員とのミスマッチです。

これも散々話をしてきた通り、心の底から行きたいと思える会社と出会えていないことが原因にあります。caripがあることで、企業と就活生はより密にコミュニケーションをとることができ、就活におけるミスマッチを減らすことができるのです。

つまり、離職率低下にもcaripは寄与していると言えます。

—ありがとうございます。坂本さんの中で、上述してきた3つの課題の根底にあるものはなんだと思いますか。—
まさに、情報の解像度の低さでしょう。いずれの課題もcaripで解消することは可能ですが、それも情報をより鮮明に伝えるという、就活生にまずは「知ってもらう」ことに情熱を注ぐからこそ実現すると考えています。

IT業界を大雑把に捉えられてしまっている現状こそが、最も解決しなければならない課題なのではないでしょうか。

余談ですが、某有名就活サービスのIT業界の解説は、とても簡潔に著されています。8分類しかされていないのです。この事実からも、「大雑把に情報を捉えてしまっている」という業界全体が抱える課題感が浮き彫りになってくるでしょう。

業界へのアツい想いで、IT業界の全てをcaripがカバーする世界へ

—では、その課題をcaripではどのように解決していくのでしょうか。—

caripを通じて、IT業界における情報の解像度を上げていくことが解決方法だと考えています。

大枠で把握されがちなIT業界を企業ごとに、もっと言えば企業で働く従業員ごとに細分化していくことで、学生がIT業界を鮮明に捉えられるようになるでしょう。

そのためにも、現代で最も情報伝達力の高い動画という手法を用いることが重要です。企業が直接発信する動画を見ることで、学生は企業に対して愛着を持つようになり、次第にファンへと進化していきます。

その状態を作ることが、最初の一歩と言えるでしょう。

—caripが学生の中でファンコミュニティを構築していった先には、どういった未来が待っているのでしょうか。—
IT業界の人材不足が、徐々に解消されていくと考えています。

「ブラックな業界だから働きたくない」
「プログラミングができないと入社することができない」

そのような固定概念を取り外し、caripを使ってくれる学生に知識を増やすことで、IT業界へ、SEという職種へ進もうという人が増加するはずです。「IT後進国」と呼ばれる日本が、ここから先進諸国に追いつくためのきっかけがcaripにあります。

—最後に、caripの今後についてお聞かせください。—
まずcaripは、業界研究という、就活生なら誰しもが通る就活の入り口をサポートします。IT業界への解像度を高めていき、よりIT業界へ進みたいと思う学生を増やしていきます。

その後、業界研究だけでなく、インターンの紹介や、プログラミングといった実技のコンテンツも充実させていくことにより、IT業界への就活全般をサポートできるようにサービスを展開していく予定です。

そして最終的には、「IT業界への就活だからcaripを使う」のではなく、「IT業界に興味を持ったからcaripを使う」というポジションに位置できるよう、コンテンツを拡充していきます。

—なるほど!坂本さん本日はインタビューのお時間を頂きありがとうございました!—

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